網膜剥離とは
カメラでいうと、ものが映るフィルムに相当する場所である「網膜」が何らかの原因で眼球壁から剥がれた状態を言う。
眼球はカメラの構造に例えられます。網膜はカメラでいうと、ものが映るフィルムに相当する場所になり、眼球の内側全体を覆っています。
網膜剥離とは、その網膜が何らかの原因で眼球壁から剥がれた状態を言います。
網膜剥離は二つに分類されます。
ひとつは裂孔原性網膜剥離、もうひとつは非裂孔原性網膜剥離といいます。ふたつの違いは、裂孔、つまり網膜に生じた裂け目や穴によってできたものかどうか、になります。
裂孔原性網膜剥離について説明します。
網膜に裂孔が生じ、そこから硝子体中の水成分が網膜下に流れ込むことで、網膜が眼球内側に向かって剥がれてきます。放置すると高確率で失明にいたります。
なぜ裂孔が生じるのか。大きく二つあり、ひとつは外傷、つまりケガによるものと、もうひとつは後部硝子体剥離に伴うものとなります。
後部硝子体剥離 に関しては別項目をご覧ください。いづれの場合でも、網膜裂孔が生じて初期の場合であれば、外来でのレーザー治療で治ることが多く、その時期を逃すと手術が必要になってきます。
主な症状
ー 小さなゴミのようなものが見える症状( 飛蚊症 )
ー 視界の中に閃光のようなものが見える症状(光視症)
ー 視野が欠けてみえる
ー 見えづらくなった
など
日常生活での見え方の違い
チカチカと光が見える場合の見え方
▼正常な見え方
▼網膜剥離の見え方
治療について
手術方法は2つ(網膜復位術・硝子体手術)ある。若年では網膜復位術、それ以外では硝子体手術を選択することが多い。
手術について説明します。
手術方法は全く違う二つの方法があります。ひとつは網膜復位術、もうひとつは硝子体手術です。
網膜復位術とは、内側に剥がれた網膜を眼球を凹ませることで網膜をくっつける方法です。
わかりづらいので、イメージで説明しますと、眼球をピンポン玉に例えれば、ピンポン玉を凹ませるような治療になります。凹ませるには当然指で押すわけではなく、シリコン製の短い帯のようなものを眼球に縫い付けるようなことをします。
以前は全身麻酔でしか手術をやりませんでしたが、近年は局所麻酔で行う施設もでてきました。院長は勤務時代から、症例によっては局所麻酔で行ってきました。手術後は厳格な安静が必要となる手術方法になります。
次に硝子体手術による治療について説明します。
硝子体手術は、眼球に3本のトロッカーと呼ばれる管を刺して、眼球のなかから治します。
その管の太さは、20G、23G、25G、27Gがあり、数字が大きいほどその管が細くなっていきます。細いほうが傷口が小さく、眼へのダメージが小さいといえます。
近年の進歩により、25Gもしくは27Gで行うのが主流となってきました。当院でも両方で手術を行っています。
眼球内にある硝子体を全て切除し、空気かガスで眼内を満たし、網膜をくっつけます。空気やガスの浮力でくっつける療ですので、手術後は、原因となった穴が上になるような体勢をとる必要があります。手術後は伏臥位、つまり下向きや、側臥位つまり横向きなどの姿勢を1週間程度とる必要がでてきます。
日本では入院して行う施設が多いですが、欧米とくにアメリカでは全て日帰り手術になっています。当院には入院施設がなくすべて日帰り手術で行っており、多くの実績があります。心配な方は、近くの病院に入院していただくことも可能です。
いままで説明した網膜復位術と硝子体手術のどちらで行うかですが、ざっくりとわけると若年では網膜復位術、それ以外では硝子体手術を選択することが多いです。
最後に、手術というのは、人生の一大イベントだと思います。
今まで病気と無縁で、手術など考えたことがなかった方でも、加齢に伴いでてくるものですので、いつかその時は訪れます。
患者様の今後の人生に大きな影響を与える手術をいかに安全に、目や身体に負担なく、合併症なく施行するために、顕微鏡、手術機械、手術デバイス、そして手術技術そのもの、全てにおいて惜しみなく投資しております。
どこで手術を受けるか。非常に重要です。手術をご決断なさった方はぜひご相談ください。
院長よりメッセージ
(もうまくはくり)